試験機関の方にお伺いしました
化粧品に配合制限のある新規原料(防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素等)を開発し、厚生労働省に申請する場合、12種類の毒性試験が義務付けられています。1原料の申請だけで1000匹もの動物が犠牲になっています。
また義務ありませんが、化粧品の成分が人間の身体にどのような害を及ぼすかを調べるために、下記のような試験を依頼されて行っています。
●目刺激:シャンプーなどが目に入って刺激がないか
●経口毒性:口紅やハミガキ粉等の成分が口から体内に入って毒性がないか
●経皮毒性:クリーム等が肌から染み込んで毒性がないか
●光毒性:ファンデーション等を塗った後、太陽光線を浴びて毒性がないか
また「美白」「アンチエイジング」などの機能性化粧品の効果確認。
これらを化粧品メーカーや原料メーカーさんから依頼を受け、ウサギやモルモット、マウス、ラットといった動物たちを使って、調べています。
化粧品原料に付けられる安全情報(SDS:Safety Data Sheet)の一例です。これを見ると、動物で試験されていることが分かります。
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)にお伺いしました
※詳しくお知りになりたい方は、JAVAホームページへ https://www.java-animal.org/
欧米では、1970年頃から「美しさのために動物を犠牲にしたくない」という消費者による化粧品の動物実験反対運動が盛んで、2013年EUでは化粧品原料でも完成品でも動物実験が禁止に。それに続くように国際社会では動物実験は禁止の方向に向かい始め、現在44か国で化粧品の動物実験を制限又は禁止しています。
日本では、動物実験を行わない企業が少しずつ増えているものの、まだ禁止する法規制は整っていません。試験機関や試験方法などの実態も分からない現状なのです。
動物を犠牲にせずに、安全性の確認をする「動物実験代替法」の研究が進み、世界各国に広がっています。
動物を犠牲にしたくない―とはいえ、キズ口や、目に入っても大丈夫だろうか?-気になります。キズ口の部分などは細胞に直接商品が触れる可能性もあるため、細胞を傷めないか一番重要なところです。目刺激試験や細胞毒性試験などは、「人工培養細胞」を使った試験方法が確立されてきました。また人の肌と同じ構造を持つ、培養された「3D皮膚モデル」もでき、製品の浸透性の確認などに用いられています。
「動物実験代替法」が広く利用されるようになるためには、単に研究・開発だけでなく、その試験法が妥当であるかという評価、専門家による査定・評価、行政による受け入れという一連の手続きが必要です。
欧米に遅れを取っているものの、日本でも2005年10月、厚生労働省管轄の研究機関の中に日本代替法検証センターが誕生し、代替法評価作業に国家予算が当てられるようになりました。